噴火対策完全ガイド

噴火対策 完全ガイド

「火山大国」日本で、噴火災害に備えよう

世界有数の火山国、日本。世界にある約1500の活火山のうち、日本には110近い活火山が存在します。これは世界の活火山の約7%にあたり、日本が「火山大国」と呼ばれる所以です。火山と共に生きる日本の私たちは、常に噴火災害への備えをおこたってはいけません。

噴火対策のポイント

噴火対策に必要なポイントは次の通りです。

  • 火山ハザードマップ・防災マップの入手と確認
  • 富士山噴火のハザードマップ・防災マップ
  • 噴火速報など緊急情報が受信できるようにする
  • 火山灰が降る地域:必要な火山灰対策用品を用意する
  • 避難が必要な地域:避難用の噴火対策用品を準備する
  • 建物の火山灰対策
  • 車の火山灰対策
  • 精密機器の火山灰対策
  • 農作物の火山灰対策
  • 火山灰の処分について

一つずつ確認していきましょう。

火山ハザードマップ・火山防災マップの入手

防災の基本はハザードマップの確認です。お住まいの地域の市町村で発行された火山ハザードマップと火山防災マップを入手しましょう。市町村役場に問い合わせて受け取りにいくか、各市町村のサイトで公開されているので、「○○市(お住まいの地域名) ハザードマップ」のように検索して入手して下さい。

火山ハザードマップとは

火山ハザードマップとは、火山災害の恐れがある範囲を地図上でわかりやすく説明したもので、住民と観光客向けのものは、活火山近くの自治体が配布しています。日本国内にある活火山それぞれの特性やデータ基づいて、火山防災協議会が様々にシミュレーションをし、防災計画を練って作成したものです。

火山防災マップとは

火山防災マップとは、火山ハザードマップ上に、避難場所・避難経路・避難情報伝達手段など具体的な避難情報や防災施設の位置を示し、住民が安全に避難できるよう作成・周知される地図です。こちらも各自治体で制作されます。

参考:内閣府 火山災害対応型防災マップの特徴
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousaimap/kazansai.html

火山ハザードマップ・防災マップから必要な準備・対策を確認する

火山ハザードマップ・防災マップの見方はいくつかありますが、ここでは簡単なチェック方法を紹介します。マップ上のご自宅や職場の場所を確認しましょう。

チェック1 避難が必要な地域か?

溶岩流、噴石、火砕流、山体崩壊の可能性がある地域は避難を含めた噴火対策が必要です。土石流や火山泥流の可能性がある地域など、ハザードマップ・防災マップには火山ごとに起こりうる被害のレベルが区分けされています。

避難指示・避難準備が発令される区域は、避難を含めた噴火対策を準備しましょう。避難場所は必ず確認しておきます。

チェック2 火山灰が到達する地域か?

火山灰は広範囲に渡って飛散します。そのためほとんどの地域は「避難の必要はないが、火山灰は降る」地域に該当します。火山ハザードマップ見て、火山灰到達予測の範囲内か確認しましょう。火山灰到達範囲内であれば、火山灰対策が噴火対策の中心となります。降灰量が多いほど、身体だけでなく、家屋、道路、農作物、交通網の対策が必要になります。

チェック3 その他、各防災マップごとの注意事項

ハザードマップ・防災マップには、避難場所、避難ルート、持ち出し品、離れた場所にいる家族に安否を知らせる方法、降灰時の注意など必要な情報が記載されています。しっかり読んで、見落としがないよう確認しましょう。

また、ハザードマップ・防災マップはあくまで予測のため、想定外のことが起こり得ることも常に念頭に置いて下さい。

富士山噴火のハザードマップ・防災マップ

通常の火山ハザードマップは、市町村の近隣の活火山が影響する範囲に合わせて作られています。しかし、富士山は広範囲にわたる火山灰など関東地方に広く影響すると予想されているため、東京都や神奈川県、千葉県でもハザードマップまたは対応指針が発表されています。

新しい情報に基づいて更新されることがあるため、常に最新版をご確認ください。

また、富士山噴火の対策について、詳しくは当サイトの特集記事がお勧めです。

サバイバルアーク:富士山噴火への対策特集
https://survival-arc.com/blogs/volcano-contents/fujisanhunka

噴火速報など緊急情報が受信できるようにする

緊急速報サービス

2015年から気象庁は噴火速報の運用を開始し、連動したスマホアプリもあります。これらのサービスを利用して、緊急時の情報を受信できるようにしましょう。

※各アプリ、サービスの導入や利用については、自己責任でお願い致します。

まずは自分の地域に関係のある火山に関する情報を集めることから始めましょう。公的な機関からの発信や、防災の方針を知ることが大事です。

火山活動の状況を調べる

気象庁のサイトから、各火山の最新の状況が調べられます。

火山灰が降る地域:必要な火山灰対策用品を用意する

火山灰から身体を守る対策

火山灰は「灰」と書きますが、実際はマグマが細かく砕けた「ガラス片」です。そのため、火山灰を吸い込むと喉を傷つけ、気管支炎を起こす可能性があり、危険です。目に入ると網膜を傷つける恐れもあります。また、火山灰には火山ガスが付着しているため、安全面・衛生面からも、できるだけ身体につかないことが望ましいです。

噴火が長期に渡る場合は、火山灰も長期にわたり降り続ける可能性があります(1707年宝永噴火は1ヶ月、1990年雲仙普賢岳噴火は途中小康を挟みつつ4年半)。最低でも3日間、できれば2週間以上の備えを考慮しましょう。

鼻・口・喉を守る:防じんマスク

火山灰が鼻や口から入ると喉を傷つけ、呼吸器障害を起こす可能性があります。1707年の宝永大噴火の際には、火山灰で呼吸器を患い、咳をする人が多数出たと記録されています。

降灰時に外出する際は必ず防じんマスクを使用しましょう。通常のサージカルマスクでは横から火山灰が入り込む恐れがあるため、DS2規格など高機能防じんマスクが望ましいです。

目を守る:防じんゴーグル

火山灰が目に入ると網膜を傷つける恐れがあります。1707年の宝永大噴火の際には目の痛みを訴える人が増えたことが記録されています。外出の際は必ず防じんゴーグルをつけましょう。コンタクトレンズは外して下さい。

防じんゴーグルを選ぶ際の注意点は、できるだけ穴が空いていないものを選ぶことです。ゴーグルは曇りを防ぐために通気孔がついていますが、そこから火山灰が入り込む恐れもあります。穴が無いものか、下部についているものを選びましょう。また、眼鏡と一緒に装着できるゴーグルがお勧めです。

身体や衣服を守る:レインコート、ポンチョ、防護服など

火山灰は小さなガラス片である他、火山ガスが付着しているため、安全面・衛生面からも、できるだけ身体につかないことが望ましいです。外出時に衣服に火山灰が着くと、外出先や帰宅時に火山灰を室内に持ち込むことになります。全身を覆うレインコートやポンチョで全身を保護すると効果的です。

大量の火山灰が積もる地域で救援活動や清掃を行う場合は、全身防護服がお勧めです。

頭を守る対策:防災ヘルメット

火山の周辺では噴石落下の恐れがあるため、ヘルメットが必須になります。特に登山時は、マスク・ゴーグル以上にヘルメットが大事です。

噴石落下の恐れがない地域でも頭部の保護は重要です。火山灰が大量に降ることによって、思いもよらなかった建物や設置物の崩落が起こり得るからです。火山灰が積もった電線に雨が降ると、切断される可能性も予想されています。

また、火山灰そのものも、頭部に降りかかることは好ましくありません。室内に火山灰を持ち込むことになるうえ、風呂場で洗い落としてもつまりの原因になるためです。

頭部の保護は防災の基本となりますので、必ず1人1つ、防災ヘルメットを用意しましょう。

ヘルメットには転倒用と落下物用、またはその兼用があります。自転車用ヘルメットは転倒用の構造となっているため、防災用としては推奨されていません。防災用のヘルメットは落下物用を選びましょう。

火山ガスから守る:火山ガス用マスク

火山ガスは噴火とともに放出されたり、火山によっては噴火のない時でも恒常的にガスが放出していることもあります。火山ガスは無色で目に見えず、窪地に滞留していたガスに気がつかず、死亡するケースがあります。

火山ガスが放出されている火山には極力近づかないようにすると共に、やむを得ず近郊にいく場合は必ず火山ガス用のマスクを携帯しましょう。

トイレの対策

火山灰は岩石からできているため、水に濡れたり冷えると固まります。そのため、大量の火山灰が上下水道に入り込むと、一時的にトイレが使えなくなる懸念があります。非常用トイレを用意し、上下水道の回復まで待つ備えをしましょう。

トイレは1人当たり1日5回の使用を目安として、必要な回数分を用意します。期間は最低3日分、できれば1週間分を用意しましょう。

トイレの必要量の計算

トイレの使用回数目安=1人1日5回

  • 家族3人を3日分=3人 × 3日 × 5回 = 45回分
  • 家族4人を7日分=4人 × 7日 × 5回 = 140回分
  • 家族5人を7日分=5人 × 14日 × 5回 = 350回分

非常用トイレは噴火以外の災害(地震等)や流通のストップ時、避難時、車の大渋滞時、アウトドア等でも使えるため、多めに用意していても損はしません。

食料品・飲料水の確保

全ての災害対策に当てはまる食料品・飲料水の備蓄は、噴火対策でも同様です。

まず、溶岩や火砕流からの避難時に、非常食・非常水の携帯は必須です。また、火山灰の大量降下にともない、飛行機の停止、高速道路の封鎖と一般道の速度制限、新幹線の停止と在来線の速度制限で、流通が大きく滞ることが予想されます。さらに、農作物への火山灰降下は植物の発育や収穫に影響を与えるため、噴火発生からしばらくたった後に、深刻な野菜不足が起きる可能性があります。また、火山灰には火山ガスが付着しているため、農作物や飲料用の貯水に降りかかった場合の健康への影響も懸念されています。

このような事態に備え、常に食料品・飲料水の備蓄に努めましょう。備蓄量は最低3日分が目安ですが、2週間分程度はあったほうが精神的な余裕が生まれるでしょう。通常の食事代わりにできる非常食・非常水であれば、余っても捨てずに活用できるため、多めの備蓄がお勧めです。

また、最近はローリングストックと呼ばれる食料備蓄方法が推奨されています。日常的に飲食するものを多めに買い、古いものから使って常に一定量がストックされているようにする方法です。避難時の食料持ち出しには向きませんが、自宅で一定期間の食料対策が必要な場合は推薦できる方法です。

その他生活用品の対策

火山灰の大量降下時にはあらゆる流通の滞りが予想されます。日常的に使っている用品で、無いと困るものは、多めにストックしておくようにしましょう。例えば、乳児用品、介護用品、医療用品、常備薬などです。

電気等エネルギーの対策

大規模な噴火による噴出物で、電気、ガス、水道などのインフラが一時的に使用できなくなる可能性があります。溶岩や火砕流、山体崩壊による破壊、火山灰による電線の断線などのほか、コンピュータ制御されているインフラに火山灰が入り込むことでショートする可能性も考えられます。また、太陽光パネルは自然災害に弱く、火山灰が積もると発電量が落ちます。

インフラ系統は最優先で復旧作業が行われます。壊滅的被害でない限り、数日持ちこたえていれば復旧する可能性が高いです。とは言え、その間の代替エネルギーは必要です。最低3日分、できれば1週間分用意しておきましょう。

代表的な対策品は、発電機、非常用ライト、ろうそく、ガスコンロです。

どれくらいの量を準備するか?

噴火発生期間の長さは様々です。1日や数日と短く終わることもあれば、1ヶ月、または数年と長く続くこともあります。そのため、必要な備蓄量を一概に言えないところもありますが、当店の考える目安として、以下を参考にして下さい。

・基本は他の災害対策と同じで、最低3日分は準備する。ストック可能なものは、できれば1週間分。

・非常食や非常水は、精神的な安心感のためにも可能な限り多めに持つ。日常の食材のローリングストック(常に多めに在庫を持ち、古い順に使っていくこと)がお勧めです。ただし、都市ガスが災害で停止した場合、工事が地中のため、復旧に2ヶ月近くかかる可能性があります。なるべくガスを使わないで調理できる食材を考慮しておきましょう。(噴火での都市ガス停止の可能性は少ないですが)

・マスクは2週間分あると安心。噴火発生時には店頭や流通からあっという間に在庫が無くなることを想定し、事前の備えがお勧め。

・ゴーグルは1個あれば、破損しない限り使用可能。

・電気は数日以内に復旧されることが想定されるため、蓄電や発電系は控えめで良い。

・水道が災害により停止した場合は地中工事のため復旧に時間がかかります。応急的復旧工事で、災害発生から約2週間で50%、約2ヶ月で95%までの回復が想定されています。ただ、噴火災害では地中への被害は多くないと思われます。心配な場合は、非常用水を大量に備蓄することは保管場所を考慮しても難しいため、浄水器を用意しておくと良いでしょう。

・トイレは1人1日5回を目安に計算します。下水道が災害にあった場合、下水処理場の被害規模の程度で、地域により大きく異なります。早い場所では約1ヶ月、遅い場所で3ヶ月かかったケースもあります。そのため、非常用トイレは多めに準備しておいたほうが安心でしょう。災害で使わない場合でも、アウトドアやドライブの長距離渋滞対策として使えます。

・その他の医療品や衛生用品、日用品は、可能なものはローリングストックで常に多めにあるようにしておきます。数日は外出できなかったり、物流の滞りが起こる可能性があるためです。

避難が必要な地域:避難用の噴火対策用品を準備する

避難の準備

火山に近く、溶岩、火砕流、土石流、泥流、大きな噴石の恐れがある地域では、安全な場所まで避難が必要です。これら被害から安全な場所でも、火山灰は広範囲に降ります。そのため、避難の準備には火山灰対策も考慮に入れる必要があります。

噴火から避難で特に必要なものは、火山灰から身体を守るマスクとゴーグル、噴石や落下物から頭部を守るヘルメットです。火山灰から全身を守るために、身体をすっぽり覆うレインコートやポンチョもお勧めです。

普段コンタクトレンズをお使いの方は、火山灰降下時には網膜を傷つけないよう外す必要があります。メガネ等を忘れずに用意しておきましょう。

その他に、非常用トイレ、非常食、非常水、ラップフィルム、紙皿や紙コップ、防寒具、非常用ラジオ、非常用ライト、医療品、現金などを用意します。

マスク、トイレ、非常食などの消耗品は最低1人3日分を目安にしましょう。避難所等で飲食類が支給されるようになっても、火山灰降下時にはマスクが必要です。マスクは帰宅後も使いますので、多めに持っていても困りません。

建物の火山灰対策

火山灰の重みによる建物の倒壊対策

噴火に伴う現象は建物にも影響します。火山灰が1cm積もると、1平方メートルあたり10kgほどになります。そこに雨が降るとさらに重みが増し、倍の20kgになります。火山灰は雪と違い、溶けることはありません。その上、雨が降ると硬化し、取り除くことも困難になります。300年前の富士山噴火(宝永噴火)と同じ規模の火山灰が降った場合、50cm近く火山灰が積もった木造家屋の半数が倒壊すると言われています。

屋根から火山灰を除去する作業は雪下ろしと似ていますが、火山灰の問題は、除去作業中の飛散によって人体に被害が及ぶこと、屋根から下ろした後の火山灰も放置せず処理する必要があることです。倒壊の恐れの少ない建物であっても、屋根に火山灰積もっていれば、風が吹くたびに火山灰が飛び、人体や屋内へ被害を及ぼします。また、太陽光パネルを設置している場合は、火山灰によって発電効果が低下します。

このように、建物の火山灰の対策は必須です。倒壊の恐れがある建物で、補強が可能な場合は専門業者に問い合わせて対策しておきましょう。また、屋根の火山灰降ろしには、火山灰対策のマスク、ゴーグルを必ず着けます。屋根に登って作業する場合は、転落事故を防ぐために、必ず安全帯や命綱、アンカー、ヘルメット等を使いましょう。雪下ろし作業用具でも代用可能です。屋根の上での作業は危険を伴うため、可能なら専門業者への相談をお勧めします。

火山灰が屋内に入り込まないようにする対策

火山灰降下時には、窓の隙間や、換気扇・換気口を通じて屋内に火山灰が入り込む可能性があります。火山灰降下の激しい時期は、窓を目張りしておきましょう。また、換気扇・換気口にフィルターをつけて、火山灰の入り込みを防ぎましょう。

空振から窓を守る対策

噴火時には空振と呼ばれる、強い空気振動が発生します。空振の発生時には火山に面した窓が揺れるだけでなく、衝撃で割れることもあります。火山に近い場所に位置する建物で、火山の見える窓側は空振対策を施しましょう。

火山灰が引き起こす泥流、融雪泥流の対策

火山灰の大量降下後に大雨が降ると、泥流や融雪泥流が発生する可能性があります。ハザードマップを確認し、泥流等の恐れがある圏内にお住まいの場合、噴火発生時には気象庁や自治体の発信に気をつけつつ、いざという時はすぐに避難できるように準備しておきましょう。

車の火山灰対策

火山灰上で車の走行は危険

火山灰の積もった道路は滑りやすく、運転には注意が必要です。2022年に山梨県富士山科学研究所や防災科学技術研究所が行った走行実験では、二輪駆動車は深さ10cmを超える火山灰では走れなくなる車種が増えました。実験ではタイヤにチェーンをつけても効果がなく、逆に早く灰にタイヤが埋まるケースも見られました。制動試験では灰が1cm積もると、止まるまでの距離が3倍近くに延びました。カーブを走る旋回試験では、灰が1mmと薄い積もり方でも、時速40km以上出すとカーブを曲がりきれずに滑ってコースからはみ出す結果が見られました。

このように、火山灰が薄く積もった道路であってもスリップの危険があり、深く積もると車両が動かなくなることもあります。個人としての被害を防ぐのみならず、緊急車両等の通行を確保する点でも、安易な走行は謹まなければなりません。火山灰降下時ならびに除去前は極力運転を避け、運転が必要な際にも安全に注意し、公的機関の案内にしたがって行動しましょう。

窓や車体についた火山灰の除去

火山灰は小さなガラス片のため、ワイパーや布で拭くと窓やボディに傷をつけます。雨に濡れても火山灰は流れ落ちず、固まることもあるため、車の掃除には注意が必要です。

まず、火山灰は空気で吹き飛ばすか、水で流して落としましょう。

空気で吹き飛ばす場合はブロワーやエアーコンプレッサを使います。作業時には火山灰が目や喉に入らないよう、必ずマスクやゴーグルを着けて行ってください。ブロワーやエアコンプレッサーがあると、車内の火山灰除去や、洗車後の水滴を吹き飛ばすことにも使えて便利です。

水で流し落とす場合は、ホースのほか、高圧洗浄機を使うとベストです。ボディにこびりついた落ちにくい火山灰も洗い流すことができます。

可能なら、ブロワーやエアーコンプレッサを使って空気で灰を飛ばした後、高圧洗浄機で水洗いするとベストです。ボディや窓だけでなく、ホイールの火山灰も落としましょう。

それから、カーシャンプーとスポンジで、優しく洗車します。スポンジは柔らかいものを使いましょう。

最後にファイバークロス等を使って吹き上げて完了です。

出先で充分な用意がない場合は、緊急対応として、はたきやハンディモップを使ってフロントガラスの火山灰を落としましょう。火山灰を落とさずにワイパーや布拭きを行うと傷がつくので注意してください。

地域によっては火山灰に対応したコーティングを行うサービスもあります。

エンジンルーム

火山灰はエンジンルーム内にも侵入します。エアクリーナーやオイルなどのフィルターが一気に汚れるため、新しいものに交換しておくことをお勧めします。

車内に非常用グッズを

車で移動中に噴火が起こり、すぐに帰宅することができなかった場合、低速で長時間運転したり、降灰がおさまるまで車内に待機する場合も考えられます。車内には非常用グッズを常備しておきましょう。具体的にはマスク、ゴーグル、非常用トイレ、非常食類、防寒具などです。

精密機器やコンピュータ類の火山灰対策

火山灰の細かな粒子が電子機器やコンピュータ内部に入り込むと、静電気によって吸着し、誤作動や機能停止になる可能性があります。1991年雲仙普賢岳では機器を制御するコンピュータが火山灰によって止まり、火山の観測が困難となる事態が起きました。現代ではインフラや交通網、金融などあらゆるものが電子機器で制御されているため、火山灰は社会の大敵と言えます。

ビルや建物のドア、窓、吸気口からの火山灰の侵入を防ぎましょう。可能なら電子機器をラップフィルムで巻く対策も検討してください。

農作物の火山灰対策

火山灰は農作物にも被害を与えます。2018年3月の新燃岳の噴火では、火山灰降下によって野菜や原木シイタケ農家が大きな痛手を受けた事例もあります。灰が野菜の葉の間などにたまると出荷できない場合もあります。灰を洗い落とせば出荷が可能な農作物でも、除去作業は大きな負担になり、生産効率の著しい低下となります。また、農作物のみならず、ハウスが火山灰に覆われて光量が不足したり、農機の故障を引き起こしたりします。農作物の火山灰対策は必須と言えます。

農作物の対策として、可能なら事前に被覆資材などを用いて直接火山灰が付着する事を防げる栽培方法を検討します。火山灰付着後は、ブロワーによる送風や高圧散水で灰を落とします。作業時には火山灰が目や喉体につかないよう、マスク、ゴーグル、長袖、長ズボンをつけて行ってください。農作物も農機具も、灰が付着したままにせず、迅速に除去するように努めましょう。

お住まいの都道府県や自治体が農作物の火山灰による被害対策を支援している場合があるので、事前の相談をお勧めいたします。火山灰除去後の農作物の出荷については、自治体や関連団体へお問い合わせください。

火山灰の処分

火山灰は放っておいても消えてなくなる事は無いため、必ず処分が必要です。自宅や敷地の火山灰を道路や下水溝に捨てる事は避けましょう。火山灰は水に濡れると硬く固まるので、上下水道に火山灰が流れ込むと詰まりを起こします。

火山灰の除去には灰かき棒、密度の高いホウキ類の他、火山灰用掃除機や業務用スイーパーも硬化的です。

集めた灰はビニール袋やゴミ袋に入れます。火山灰のゴミ分類や処理については、お住まいの自治体にお問い合わせ下さい。

作業時には、マスクやゴーグルをつけて灰が目や喉を傷つけないように注意してください。

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上地忍
上地忍 防災士、災害備蓄管理士

災害対策の専門会社シーノン株式会社代表取締役。2008年より災害対策のコンサルティング、防災用品の販売を行う。一般家庭、国内外企業、研究機関、消防隊等など納品実績多数。日本唯一の噴火対策専門店「噴火.com」の運営、災害と危機対策の「サバイバルアーク」の運営をおこなう。