防災士がお勧めする非常用持ち出し袋の中身

持ち出し袋と避難グッズの準備
避難が必要とされるレベルの地震、津波、水害、噴火が起きた時、避難行為は時間との勝負になります。すぐに持ち出して避難することができるよう、普段から避難グッズを入れた「持ち出し袋」を準備しておきましょう。
人数と避難想定日数の確認
避難グッズの準備と量は、「人数 × 避難想定日数」になります。
最低3日分の備えを
避難想定日数は、最低3日間です。最初の災害発生に引き続いて大きなものが発生するかどうかの確認、救援物資の到着など、目安となるのが3日間です。インフラ停止の場合は復旧までまだ時間がかかりますが、3日経てば、救援物資の配給が始まったり、被災の程度が重度でなければ家に帰ることもできます。自治体も避難所となる施設にある程度の備蓄品を準備しておりますが、完全ではありません。自分と家族の身は自己責任で護るという心構えで、何の配給がなくても3日間は過ごせるだけの準備はしておきましょう。
7日分の備えのすすめ
できれば3日間でなく「7日間」を想定して準備しましょう。地震がおさまり洪水の水が引いても、家に帰れないという状況はあります。最低限の食事は配給されたとしても、避難所生活はそれなりの精神的ストレスを感じます。ましてや被災のショック後であればなおさらです。「7日間、避難生活になっても大丈夫」と言えるだけの準備をしておけば、災害前も避難期間中も、心の安定感がずいぶん違います。何もかも持ち出し袋に詰め込むわけにはいきませんが、余力があればぜひ、「7日分」の避難準備をして下さい。
重要なものから選ぶ
あれもこれもバッグに入れて避難することはできないので、重要なものから選んでいきましょう。
各避難グッズについて一般的な重要度をお示ししますので、各人、各家庭の事情に合わせて避難セットを作ってください。
- 重要度:★★★ 避難グッズに必ず入れておきたいもの
- 重要度:★★ 避難グッズにできれば入れておきたいもの
-
重要度:★ 必須では無いが、あれば災害生活が快適になるもの
避難用バッグ
重要度:★★★
まずは避難グッズを入れる袋またはバッグ、リュックを選びます。
避難用バッグの選び方
選ぶ際には「容量」「携帯性」「機能性」を考慮します。
容量
「容量」は目安として、1人分なら20L前後、2人分なら30L前後です。寝袋を入れたい場合は30〜40Lは欲しいです。テントや調理器具など登山で宿泊できるレベルの場合は50L〜60L以上必要です。慣れてない方が大きくて重たい物を持って長時間歩くと、腰を痛めます。無理をせず、30L台を上限の目安としておきましょう。一例として、30Lバッグに家族共通のものを全部入れて、最悪の時はこのバッグさえ持っていけば最低限大丈夫、という中身にします。あとは大人20L、子ども10Lと、各人が持つものを用意しておきます。お子様向けの参考までに、一般的なランドセルは9Lです。
注意点として、家族全員、それぞれに必要なものを入れたバッグを持たせて避難できれば理想的ですが、災害は家族全員のいるタイミングで訪れるとは限らないことです。そのため、前述のように1つだけ「マスターバッグ」として、最悪の時にはこれ1つだけ持って避難する、家族の最低限必要なものを詰めたバッグを用意しておきましょう。
携帯性
「携帯性」は、背中に背負えるものを選びましょう。基本的にはリュックタイプがお勧めです。キャスター付きのバッグは便利ですが、避難場所までのルートまで歩いて行けるか確認しておきましょう。また、子供や高齢者と移動する場合、背中に背負うリュック式の方が両手が空いて安心です。
機能性
防災用バッグにはいろいろな機能がついています。まずお勧めは、「防炎」「防水」性です。よく見る銀色の袋タイプの持ち出し袋はほとんど防炎タイプです。最近の動向としては、防水機能にニーズがあります。理由として、震災だけでなく水害による避難が増えて、雨の中を歩くことが多くなったためです。また「蓄光」「反射板」付きのバッグは、暗い夜道を避難する時に安心です。他にも「水に浮く」「椅子になる」「ペット用」など、いろいろな機能付きバッグがあるので、ご自身または家族のニーズに合わせて必要な機能を選びましょう。
避難用防護用品
避難移動中に身体を防護するグッズを用意します。持ち出し袋を準備する際は、避難場所での生活に注目しがちですが、避難は大きな災害の来る直前や、第2波、第3波の最中に移動することになります。まずは移動中の身体を護るグッズを用意しましょう。
ヘルメット・頭巾
重要度:★★★
防災は頭部の保護が最優先です。ヘルメットや頭巾は地震の時は落下物から、噴火の際も噴石等から頭を護ります。さらに、混乱の中で避難する際の転倒時にも頭を護ります。ヘルメットをバッグの中に入れると場所を取り、かつ、避難時にすぐ取り出せません。ヘルメットはバッグの外にかけておき、避難時にすぐかぶれるようにしておきましょう。
レインウェア
重要度:★★
雨の中を避難する場合にそなえて、レインウェアを用意しておきましょう。避難後の生活にも役に立ちます。小さく折りたためてバッグの中に入れられるものにしましょう。バッグの一番上に入れて、避難時にすぐに取り出せるようにしておきます。ちなみに、避難時の傘の使用は、手がふさがるのでお勧めしません。
ホイッスル
重要度:★★★
避難中に建物が崩れたり、洪水が来たり、怪我して動けなくなったりと、災害では思いもよらぬ危機に見舞われます。助けを呼ぶ際に大きな声を出すと、体力の消耗が早くなります。ホイッスルはいざという時の必須アイテムとして備えましょう。特にお子様には必ず持たせてください。ホイッスルはバッグの中にしまわず、首からかけるか、カラビナ付きでリュックに取り付けられるものにしておくと安心です。
マスク
重要度:★★★
避難所は集団生活になるため、感染対策にマスクが必要です。また、噴火の発生で火山灰が降る場合は必要です。
ゴーグル
重要度:★(噴火以外の災害)
重要度:★★★(噴火発生時)
通常の避難では必須ではありませんが、噴火の発生で火山灰が降る場合は必要です。噴火発生時に避難する必要がない地域(例えば富士山噴火時の東京や神奈川)では、防災バッグに含めずに、家庭用備蓄としておきます。
非常食・保存水
避難所ではある程度の防災食が備蓄されていることもありますが、避難者全員に必要な分だけ配布されるとは限りません。救援物資が届いて配給が始まっても同様です。そもそも災害の程度によっては、避難所も使えず、救援もなかなか届かないこともあります。外部の支援はゼロかもしれないことを前提に、ご自分と家族の必要な食料・飲料を確保しておきましょう。日数は最低3日分、バッグに容量があれば7日分あると安心です。
非常食
重要度:★★★
非常食の必要数量
1人当たり1日3食を用意する場合、必要な非常食の数量は以下のとおりです。
- 1日分:3食
- 3日分:9食
- 5日分:15食
- 7日分:21食
バッグに容量があれば、7日分の21食も意外と入ります。ただ、現実的には持ち出し用に3日分の9食を用意して、あとは配給に期待したり、自宅(損壊や浸水せず入れる状態であれば)に備蓄することが多いでしょう。21食はバッグに入らないけれど、それでも念のために7日分を考えたい場合、「3日間は1日3食にするけれども、残り4日間は1日1食で乗り切る」といったプランも可能です。この場合は9食+4食で13食になります。バッグの容量、重さ、ご予算に合わせてご検討ください。
非常食の種類
非常食は白米のみだった時代に比べて、バラエティに富むようになりました。ぜいたくを言えばキリがありませんが、なるべく変化のある非常食の種類をそろえると、避難生活の緊張も和らぐでしょう。例えば1日3食のうち、朝はパン類、昼はご飯もの、夕方はリゾットやカレーもの、などのように。予算と相談しながらご検討ください。
長めの非常食生活では栄養や塩分に注意
非常食だけで過ごすと、途中から「野菜が食べたい」「塩分が欲しい」「甘いものが欲しい」と感じるようになります。ただのぜいたくではなく、身体が必要な栄養のサインを送っていることもあります。特に塩分の確保は重要です。3日間はパンやご飯ものだけでも乗り切れますが、それ以上の日数の場合、少し予算を足してでも、ビタミンや塩分の補充を考えたラインナップにしてください。
保存水
重要度:★★★
水は食べ物以上に重要です。食事は最悪の場合、数日食べなくても生きていけますが、水は3日間取らないと生命の危険があります。持ち出し袋には必ず保存水を入れておきましょう。ただ、必要だからといって2Lのペットボトルを何本も入れると、重すぎて持てなくなります。現実的には一番重い荷物を持てる人のバッグに2Lペットボトルを1つ、後は各人のバッグに500mlペットボトルを1本か2本、といった具合いに落ち着くでしょう。
水は重要なため、避難所や災害現場でも比較的早く支給が始まります。給水所が開放されることもあります。そのため、1日分程度の保存水をバッグに入れた後は、下記の浄水器やウォーターバッグをご準備ください。
ウォーターバッグ
重要度:★★
災害発生後は早い段階で、給水所の開放や給水車の手配が行われます。また、自治体や消防隊が業務用浄水器を設置し、河川の水や雨水を飲料水に変えることもあります。その時に必要なのは水を入れる「ウォーターバッグ」です。一度に10L、20Lと水を入れておければ安心です。頭や衣類を洗う生活用水にも使えます。未使用時はたためるタイプのウォーターバッグを1つ、用意しておきましょう。
携帯用浄水器
重要度:★★
給水が長期間期待できない場所や、甚大なレベルの災害があった場合の水の確保は? そんな場合は携帯用の浄水器がお勧めです。泥水、河川の水、雨水を濾過して飲料水に変えることができます。アウトドアでも使えるので、1つ持っていると安心です。注意点として、浄水器には不純物のみ取り除くものと、化学汚染や細菌類まで除去・低減できるものがあります。化学汚染水とは、農薬や放射性物質、重金属などが含まれた水です。不純物除去の他、「化学汚染」「細菌やウィルス」の除去・低減に対応している携帯浄水器を選びましょう。
塩飴
重要度:★★★
人間の身体は塩分を取らないと、短期間で体調不良、頭痛、最悪の場合は死に至ることもあります。夏場の避難生活は汗をかくので、塩分が体外に流出します。また、冬も身体に塩分が少ないと発熱しづらくなります。非常食だけでは十分に塩分がとれないこともありますので、塩分の取れる飴類をご用意ください。甘みがあれば、ストレスの軽減にもなります。
使い捨ての食器とサランラップ
重要度:★
被災経験者の方の多くの方が、使い捨ての食器とサランラップの便利さを語っています。避難生活では食器を洗うための水を確保するのも難しいので、使い捨ての皿の上にもサランラップをかけて使うことで、洗わずに何度も使うことができます。サランラップは紙コップやスプーンにも巻いて使えます。費用も少額なので、使い捨ての食器類とサランラップのご用意をお勧めします。
お菓子、フルーツ缶、お茶やコーヒーなどの嗜好品
重要度:★
嗜好品類は必須ではありませんが、長い避難所生活では1個の甘味、1杯のコーヒーが驚くほど精神の安定に効果を発揮します。長い期間ストレスが続くと体調にも影響するので、バッグに余力があれば、ちょっとした嗜好品もご用意ください。避難生活ではお湯が潤沢に使えない場合もあるので、飲み物は水で溶けるタイプのものが安心です。どうしても熱い一杯が飲みたい場合は、以下の発熱剤をご検討ください。
発熱・加熱剤
重要度:★
水を加えるだけでご飯や水を温められる発熱・加熱剤のグッズがあります。ご飯を温めて食べたい、お湯が使いたい場合はグッズに含めてください。固形燃料を使う場合は、必ずアウトドア等で使い勝手を試してからにしましょう。引火性のあるものは避難用バッグにはお勧めしません。
非常用トイレ
非常用トイレ
重要度:★★★
食べることは我慢できても、排泄の我慢は困難です。避難場所においても排泄用の水が使えるのに時間がかかる場合があります。非常用トイレを各自用意しておきましょう。
非常用トイレの必要量
通常、1人当たり1日5回の排泄を行うとされています。そのまま計算すると、3日分用意する場合は15回、7日分なら35回です。ただ、自宅備蓄用はともかく、持ち出し袋に15回分や75回分を用意するのは多すぎると感じるでしょう。
- 避難中のトイレに備えて最低は1回分
- 避難生活で我慢しながら使うとして3日〜4日で10回分
これくらいの量が持ち出し袋に入れる現実的な数量になるでしょう。
注意点として、「消臭機能」「排泄後にそのまま捨てられる袋」がついている非常用トイレをお勧めします。安さだけで選ぶと、この点が不足している場合があります。
目隠し用ポンチョ
重要度:★★
トイレ中の目隠し用です。わざわざトイレ用に別途用意するのがもったいない場合は、目隠しポンチョ付きの非常用トイレを準備するか、全身隠れるレインポンチョを兼用して使うなどします。
ライト・明かり
夜間の避難時の明かりや、避難生活でもライトの存在は貴重です。最近はラジオ・バッテリー機能と一体となったライトも多いため、必要に応じて選びましょう。
ヘッドライトまたは懐中電灯
重要度:★★
夜間や視界不良の中で避難する際には、電灯類が大変重要になります。頭につけるヘッドライトと手に持つ懐中電灯があります。
避難時の安全を考慮すると、ヘッドライトがお勧めです。最大のメリットは両手が空くことです。避難時には家族の手を引いたり、荷物や思いがけないものを持ったり、状況によっては避難通路を防ぐものをどかすなど、手が使えるようにしておくことが大切です。懐中電灯では片手が埋まりますので、特に避難時に先頭を歩く方のぶん1つだけでよいので準備しておきましょう。避難バッグにはすぐに使えるよう、ヘルメットなどと一緒に外に出しておくと便利です。充電式もありますが、避難時にバッテリー切れを起こすことがないよう、電池式をお勧めします。もちろん電池も一緒にご用意ください。
ランタンなどのライトやろうそく
重要度:★
避難所の場合は電灯があり、消灯は21時頃と決められていることが多いので(場所によりルールが異なります)、ランタンなどの用意は必要ないでしょう。野外で過ごす場合には灯りがないと困りますが、懐中電灯などを持っているのであれば、あえて別に用意する必要性は少ないです。電気が使えるかどうかの状況にもよります。ラジオや充電機能と一緒にライト機能もついているグッズがあるので、他の重要度の高い避難グッズや持ち出し袋のスペースと相談のうえ、ご検討ください。
ろうそくは自宅避難や野外避難に役立ちます。通常の縦に長いろうそくではなく、防災用のたおれにくいろうそくを選びます。ただ、避難所では火災の心配があるため、使用は控えましょう。外で使う際にも燃え移りにご注意ください。
災害用ラジオ
重要度:★★★
災害時は情報収集が大事です。災害状況や救助支援の状況など、避難時には少しでも情報が欲しくなります。スマホは容易に情報収集が可能ですが、難点はバッテリーです。その点、ラジオは電池だけで長時間使えるため、現在でも災害時の情報ツールとして便利です。ラジオ単体か、ライトや充電機能と一体となったものを、家族のバッグのどれか一つには用意しましょう。
充電・バッテリー
重要度:★★
避難生活に電気が必要な最大のものは、スマホや携帯電話でしょう。スマホは遠方との連絡や情報集に大変便利なため、充電ができるよう準備したいところです。昔は「手回し式」の充電器がありましたが、現在のスマホの電池消費には追いつかないとされています。モバイルバッテリーを用意しておく選択肢もありますが、避難袋に普段から入れておくことを考えると、避難時に電池が切れている可能性もあります。そのため、「太陽光充電」のできる充電器がお勧めです。
なお、モバイルバッテリーや太陽光充電バッテリーを準備する際の注意点として、よく知らないメーカーのものは選ばらないことです。バッテリーに使用するリチウム電池が熱によって火災が起きる事例が増えています。安いからといって知らないメーカーの製品や、製造元が分からない製品を選ぶと、事故のもとになります。
寝具・保温
被災時に体温の確保は大変重要です。低体温症になると短時間で健康や生命の危険につながる場合もあります。サバイバル学では、体温の確保は、水や食料の確保よりも優先すると言われているほどです。災害の状況によっては、やむなく外で一夜を明かすこともあるでしょう。冬場や雨の中での避難もありえます。また、避難所でも布団や暖房設備が十分とは限りません。家の外に避難することが前提の持ち出し袋には、身体を保温できるものを必ず入れておきましょう。
防災用ブランケット
重要度:★★★
防災用にアルミ等でできた簡易ブランケットがあると、外や暖房設備のない建物でも、最低限の体温を確保できます。未使用時は小さく折りたためるので、持ち出し袋の場所を取りません。繰り返し使うこともできます。1個は必ず用意しておきましょう。
使い捨てカイロ
重要度:★★★
使い捨てカイロも身体の保温のために準備しておきましょう。バッグの場所もとらないので、3〜5個あると安心です。
寝袋(シュラフ)
重要度:★★
寝袋は睡眠時の保温効果があります。野外で避難の一夜を明かすことになった場合や、避難所でも布団がわりに使えます。避難バッグに1つ入れておくと安心です。なるべく小さく収納できるものを選びましょう。
エアーマット
重要度:★
エアーマットは収納時に小さく折り畳めて、使用時は空気を入れてマットにできます。野外の地面や避難所の床が固くて寝づらい場合に効果を発揮します。夜は冷えますので、エアーマットだけでなく、防災用ブランケットも合わせて布団がわりに使いましょう。
アイマスク・耳栓
重要度:★
多くの方と寝泊まりする避難所では明かりや音が気になることも。実際の避難所生活経験者の方から、耳栓のおかげでよく眠れたという声もあります。周囲に敏感な方はご準備ください。
救急用品・医薬品
災害時には怪我をすることも多く、また感染症も発生しやすくなっております。避難時に簡単な応急手当てができるよう、救急用品を持ち出し袋リストに含めておきましょう。
救急道具
重要度:★★★
家庭でお使いの救急道具と同じもので構いませんので、絆創膏、消毒液、傷薬、綿棒、ガーゼ、包帯、サージカルテープなどを入れておきます。食中毒や胃腸が弱ることもあるので、正露丸等の胃腸薬もあると安心です。
感染対策用品
重要度:★★★
災害発生後は衛生環境が万全でないため、避難した場所での感染症発生リスクが高まります。ご自分の感染だけでなく、他の方々への感染も防ぐための準備をしておきましょう。マスク、アルコールのハンドスプレー、除菌効果のあるウェットティッシュなどを用意しておきましょう。
常備薬・持病薬
重要度:★★★
日常的に使用している薬があれば、余分に持ち出し袋へも入れておいて下さい。薬を服用する方が避難時にバラバラになった場合に備えて、薬と一緒に種類や服用回数などもメモで入れておくと、他の方が介助する際の役に立ちます。
洗面・衛生用品
避難生活を少しでも快適に過ごすために、洗面用品・衛生用品があると便利です。災害時に贅沢は言えませんが、小さくてバッグに入りやすいものが多いので、スペースが許すのであれば検討しましょう。
ウェットティッシュ
重要度:★★★
食事前の手を拭く、ちょっとした怪我の傷を拭く、汗をかいた体を拭くなど、一つあれば万能に使えます。ぜひ一つは避難グッズに含めてください。保管期限の長いものをお勧めします。
歯磨き・マウスウォッシュ
重要度:★★
歯磨きは旅行用の歯ブラシと歯磨き剤がセットになったものが便利です。ただ、状況によっては歯磨き用の水が潤沢に使えない場合があります。マウスウォッシュもあると良いでしょう。
ウェットタオル
重要度:★
全身を拭ける大判のウェットタオルです。避難所ではお風呂に期待できないため、身体を拭くためにあると便利です。特に夏場は重宝します。
ドライシャンプー
重要度:★
避難所ではお風呂に入れず、水も十分に使えないので、水がなくても髪を洗えるドライシャンプーが便利です。避難グッズの優先度としては下がりますが、バッグと予算に余裕があればご検討ください。
衣類・下着・洗濯用品
衣類・下着
重要度:★
災害時にぜいたくは言えませんが、なるべく不快感なく、また臭いで他の人に迷惑をかけずに過ごしたいものです。下着やアンダーシャツの替えがあると安心でしょう。可能なら3日分です。
洗濯用品
重要度:★
複数日分の着替えを避難袋に入れるのは場所を取るので、外で洗濯できるグッズがあると便利です。
「ジッパー付き袋」「洗剤」があれば外でも洗濯が可能です。ジッパー付き袋に洗濯物を入れて、洗剤と水を入れて洗います。ジッパー付き袋は洗い物を入れることができる大きさで、水がもれない密閉式であれば何でも構いません。少量の水でも汚れを落とすことができます。
洗剤は注意が必要です。すすぎができるほど水が使える場合は洗濯洗剤が使えますが、そうでないケースを考慮した方がよいでしょう。「重曹」を使えば水よりも汚れが落ちやすく、すすぎが十分でなくても肌への刺激が弱まります。
現金、身分証明書のコピー、連絡先などの重要情報、印鑑
現金
重要度:★★★
避難袋には多少の現金を入れておきましょう。特に10円玉を多く入れておきます。公衆電話を使う際に必要なためです。
身分を証明するもの
重要度:★★★
免許証などの身分証明書、資格確認書やマイナ保険証のコピーは重要です。災害時に自分や家族の身分証明や、医療機関の受診に役立ちます。避難時の混乱で原本を持ち出せない可能性があるため、コピーして入れておけば安心です。銀行口座の番号や、生命保険・損害保険の証書のコピー、または契約番号の控えなども、災害後の生活の助けになることがあるでしょう。
なお、金融機関は大規模災害が起きた際の特別借地として、本人確認さえできれば、被災者は通帳や印鑑がなくても預金引き出しができるよう、柔軟に対応することになっております。
家族の連絡先
重要度:★★★
家族の連絡先や顔写真も入れておくと、災害時に家族を探すときに便利です。特にお子様の荷物には入れておきましょう。スマホにある連絡先も故障や電池切れで使えないこともあるため、紙に残しておくと安心です。
印鑑
重要度:★★★
印鑑は罹災証明などで必要になることがあります。実印でなく認印で可能です。普段から印鑑を使う場合、持ち出しバッグの奥に印鑑を入れてしまうと不便なので、バッグ外のポケットなどに入れておきましょう。
女性の備え
生理用品
重要度:★★★
生理用品は通常の防災セットには含まれていないことが多く、避難所でも充分な備えがあるとは限りません。
女性の方は独自で、生理用ナプキン、中身の見えないゴミ袋、サニタリーショーツなどを用意しましょう。一周期分をご用意ください。使用期限があるものはご注意ください。
ヘアゴム
重要度:★
女性の被災経験者から、ヘアゴムが意外にも役立ったという声があります。長くお風呂に入れない時や食事中に髪を止めたり、傷の手当てや容器の封に使ったりと、汎用性が高く便利です。コストもスペースも圧迫しないので、ご準備をご検討ください。
乳幼児・小さな子どもの備え
乳幼児は月齢ごとに必要なものが少しずつ変わってくるので、定期的に備蓄品の入れ替えが必要になります。「検診日ごとにチェック」「誕生日ごとにチェック」など、乳幼児に関係するイベント日に備蓄品の入れ替えをするなど、工夫しましょう。
おむつ
重要度:★★★
おむつは最低3日分、できれば7日分用意したいところです。量が多いとかさばりますが、おむつの量が多い時期は仕方がないと思って用意しておくしかありません。普段のおむつのサイズが変わったら、防災用のおむつも交換しましょう。
なお、トイレトレーニングで自主的にトイレに行けるようになっても、災害時の非日常生活では、うまくコントロールできなくなることがあります。子どもなりに災害と戦っていると思い、少し余分におむつを用意してあげましょう。
お尻拭き
重要度:★★★
普段使っているお尻拭きを、そのまま防災バッグに入れてかまいません。最低3日分、できれば7日分用意しましょう。保管期限がある場合はご注意ください。
なお、携帯用お尻洗浄機は、避難生活で充分に水が使えるかどうか分かりません。ウェットティッシュタイプのお尻拭きが安心でしょう。
使い捨ておむつ替えシート(乳児用)
重要度:★★
おむつ交換時に下に敷くシートです。普段から外出時に使っている方は同じもので使えます。避難生活でのおむつ交換は、いつもより衛生面に注意を払う必要があります。また、周囲を汚しても水が充分に使えず洗えないこともあります。お子様が乳児の時期は一箱あると安心です。
粉ミルク・常温保存の液体ミルク・離乳食
重要度:★★★
避難時には乳幼児用に充分な食事が用意できません。防災食のほとんどは乳児が食べるには難しいです。また、普段は母乳をあげていても、避難時に母親がいない状況もありえます。安心のために最低3日分、できれば7日分の乳幼児の食事を用意しておきましょう。
普段使っている粉ミルクや離乳食を余分に買い、避難用バッグにも入れておいてください。離乳食の種類など、普段の生活で切り替えの時期が来たら、備蓄用を使い切り、新しいものと入れ替えます。賞味期限にご注意の上、ローリングストックしながら補充する工夫もご検討ください。
注意点として、避難時には水が充分使えない可能性が高いことです。そのため、哺乳瓶や食器類は使い捨てのものを用意しておきましょう。
粉ミルクは水で溶かせるものを選びましょう。避難先でお湯が使えない可能性が高いためです。また、粉ミルクを溶かす際には、硬度の高い水は赤ちゃんの腎臓に負担がかかります。ミネラルウォーターや保存水を使う場合は軟水であることを確認しましょう。給水車は水道水と同じく軟水が使われます。衛生面から赤ちゃんにはできるだけ当日給水の水を使いましょう。
児童・小学生用の玩具
重要度:★
子どもにとって避難生活は退屈なものです。ゲーム機等は緊急避難の時は持ち出さないし、持っていても電気が使えないこともあるでしょう。周りの迷惑になることあります。
そのため、カード類やボードゲーム、お絵描きなどを、お子様の避難バッグに入れておくことを推奨します。
高齢者の備え
高齢者の避難グッズの備えは、通常の成人男女と同じものを踏まえつつ、重さには注意しましょう。ご本人がバッグを背負って数キロ(あるいは避難所まで)歩けるか、事前にシミュレーションしておきます。
以下、特に高齢者の方に必要なケースが多い備蓄品です。
持病薬
重要度:★★★
普段使用している持病薬を多めに購入し、持ち出し袋に入れておきます。非常用に最低3日分、できれば7日分を備えておきましょう。使用期限のあるものはご注意ください。入れ替え時期をカレンダーにメモするか、ローリングストックで普段から使いながら新しいものに変えていきます。
保険証・お薬手帳のコピー
重要度:★★★
避難先で薬が足りなくなった場合に備えて準備しておきましょう。
多めの非常用トイレ・おむつ
重要度:★★★
年齢があがるとトイレの頻度が多くなります。非常用トイレでは成人で1日5回を基準にすることが多いですが、高齢の場合、1日10回程度で計算しましょう。
普段おむつを使っている場合は同じものを余分にご用意ください。洗うタイプのおむつは、避難場所で水が使えないこともあるため、避難用としては使い捨てタイプを準備しましょう。
トイレ、おむつとも、いずれも最低3日分、できれば7日分ご用意ください。
高齢者向け非常食
重要度:★★★
非常食はいろんなものが出ておりますが、高齢者の方が食べることのできるものを選びましょう。噛む力が弱い場合は、おかゆタイプの非常食もあります。
水のいらない入れ歯洗浄シート
重要度:★★★(入れ歯の方)
入れ歯をお使いの場合、避難先では水が使えないことを踏まえて、水のいらない入れ歯洗浄道具をご用意ください。
老眼鏡・メガネ
重要度:★★★
避難時にはメガネを忘れてしまったり、時間がなかったりするかもしれません。また、災害時に破損する可能性もあります。予備も兼ねて、持ち出し用に1つ入れておきましょう。
防寒・防暑対策
重要度:★★★
高齢者は体温調整が難しいため、通常の成人男女よりも防寒・防暑対策に気を遣いましょう。ブランケットの他、使い捨てカイロや冷却シートなどを多めに入れておきます。
本人の情報や家族の連絡先
重要度:★★★
お一人での判断や行動が難しい高齢者の方の場合、はぐれて避難した場合に備えて、ご本人の情報や家族の連絡先を書いたものを用意しておきましょう。
その他
防災シューズ、または踏み抜き防止のインソール
重要度:★★
防災バッグに入れる物ではありませんが、避難時の靴は盲点になりがちです。大きな震災の後は路上に危険な瓦礫が散乱しています。しかも夜の避難では見えづらくなります。また、水害発生の避難では、冠水で足元が見えなくなることもあります。足を怪我すると歩きづらいだけでなく、感染の危険もあります。踏み抜き防止機能のある靴、またはインソールを用意しておきましょう。
ペン・ノート・メモ・ガムテープ(布タイプ)
重要度:★
連絡事項や名前書きなどに、ペンやメモがあると便利です。ガムテープは何にでも貼れて、ペンでメモすることできます。紙類は防水タイプがおすすめです。
ロープ
重要度:★
ややアウトドア向けのグッズになりますが、ロープ1本あると万能に使うことができます。かけるとこさえあれば、洗濯物を干したり、目隠しを作ったりできます。
ブルーシート
重要度:★
屋内へ避難することが難しいと思われる場合はブルーシートをご用意ください。上記のロープと合わせて目隠しを作ることもできます。
普段は持ち出し袋には入れないけれど、避難時に持って行く貴重品
普段は持ち出し袋に入れないけれど、避難時に持っていきたい重要なものを把握しておきましょう。
まとめてポーチなどに入れておき、避難時にはさっと持ち出せるようにしておくのがお勧めです。
避難開始時に持っていく貴重品の例
- 印鑑
- 免許証、保険証、マイナンバーカード、パスポート
※念の為コピー印刷して持ち出し袋に入れておくと、原本がない時でも使えることがあります。 - 保険の証書(特に災害保険)
- 銀行の通帳、カード
持っていく? 置いていく?
避難に必要でないけれど、置いて逃げるか、持って行くか、迷ってしまうものがあります。東日本大震災では、最初の地震でいったん避難したものの、家に荷物を取りに帰って、津波に巻き込まれてしまったケースもありました。
命あっての物種と言われても、大事なものは人それぞれです。故人の遺影や形見、宗教的な信仰の対象物など、その人にとって非常に大切な心の拠り所となるものは、「そんなの置いてさっさと逃げろ」とはなかなかできません。精神的な支えは、つらい災害後の生活を支える力にもなります。
もっと現実的なものとして、大切にためた老後のへそくりなど、多めの現金の持ち出しを迷う場合もあるでしょう。緊急避難が必要な状況だが、金額を考えると迷ってしまう...。しかも大事なものだけに、すぐに取り出せない場所に置いていることも。
重要なことは、災害が起きる前に、避難時に持っていくのか、残念だけど置いていくのか、心の中ではっきりと決めておくことです。迷ってしまい避難タイミングを逃したり、置いてきたことを後悔して危険にも関わらず取りに帰ったりすることがいけません。普段は大切なものであっても、避難時には「持っていく」「置いていく」と、あらかじめ整理をつけておきましょう。
避難時に持っていくかどうか迷いがちなものの例
- 位牌、遺影、遺族の形見
- 宗教的な信仰の対象物
- 金庫の中にしまってあるもの
- 多額の現金
- 会社の重要書類
- 人に見られたくないデータの入っているスマホやPC
「持っていく」と決めたものは、いざ緊急時にすぐに持ち出すこともできるよう、普段から対策しておきましょう。「置いていく」と決めたものは、心の中で詫びるなり、きっぱりあきらめるなり、気持ちの整理をつけておきましょう。
重要な書類やデータなどはクラウド保存で対処も可能ですが、問題は人に見られたくないデータの入っているデバイスです。「見られたら生き恥をさらす」「立場が危うくなる」など人によっては貴重品以上に持ち出しに執着するかもしれません。どのようなデータなのか人それぞれですが、「避難時に迷うこと、避難を遅らせること」が一番の問題です。消せるなら消しておく、解決できるものはしておく、最後は開き直るなどして、「これが原因で逃げ遅れ...」など、笑い話にもならない事態に陥ることのないようにしておきましょう。
持ち出し袋の置き場所
持ち出し袋はどこに置いておくのが理想的でしょうか。
すぐに逃げやすい玄関口? 夜間の災害に備えて枕元? みんなが集まるリビング?
考え方はいくつかありますが、持ち出し袋の置き場所について大事なことは「どこに置いているか家族が把握していること」でしょう。
玄関や枕元に置いてあったのに、生活に邪魔だからと、家族の誰かが押し入れに移動していて、災害時に分からなくなっては困ります。
「避難用」であれば一般的に玄関付近に置いておくのが分かりやすいですが、住まいの構造も含めて、家庭の状況や生活意識はそれぞれです。押し入れにしまうなら、それを家族全員が把握し、避難時にさっと取り出せることが大事です。家族全員分をまとめて一カ所におけず、各自管理というパターンもあるでしょう。
各家庭に合わせて、次の2点を条件に、置き場所を決めてください。
1、「避難用の持ち出し袋は、ここ」と家族が把握していること。
2、避難時にすぐ取り出せる状態になっていること。
置き場所を決めたら、実際に地震や災害が起きたと想定して、持ち出し袋を持って外に出てみると良いでしょう。置き場所から取り出しにくかったり、逃げる途中でぶつかりやすかったり、靴履きで困ったりなど、気づきがあります。
一度、「我が家の避難訓練」をしておくと、いざ本番にスムーズで心強いです。ぜひご検討ください。